DARK ANGEL いつか君と

 

僕はずっと思っていた。
色々なことを考えていた。
あれやこれやと生きている今について、出来うる限りの最善を尽くしたいと。
でも、結局、過去は消し去ることなど出来ないと知っていた。

周りの誰もが知らない、知りうるはずも無い、社会から抹殺された記録と言う記録。
抱えた秘密と闇を恐れて、眠ることなど出来やしない時間を過ごした日々。
―――君も同じだろうか。

混乱と喧騒と生物の本能によって息を吹き返した世界。
でも、そこにある騒然とした無為乱雑な営みを誰が責められるだろう。
もう…随分と…そうして生き長らえることだけを考えて、誰もが必死にもがいてきた。
僕もずっと。

憂える白亜の麗人が崩れ逝く美学をその身で諭すように、いとも容易く混沌に見舞われた社会で。
失った家族と、元からありもしなかった思い出と、残酷な現実と。
僕は息を潜めて、手放した片割達を求めて、傷付いて、傷付けて、我武者羅に。



切り刻まれたそれは、つなぎ合わせられた継ぎ接ぎの原始からの生命。
遍く全てが神によって創造されたなんて世迷言も御伽噺も、どうやったって信じることなどできはしない。
僕は人の手によって造り出された、ニセモノの命。
ただ、殺戮と言う命令をこなす為だけに造られた科学の申し子なのだから。


いつか会える、いつか会いたい、君に。
もう二度とその手を離したくはない。
懺悔も祝福も許されぬ歪な生命だけれど。
僕達は確かに家族だったのだから。



きっと君は生きている。
この殺伐とした灰色の世界のどこかに。
僕は感じている、君が居ることを。






マックスへ、愛を込めて…。

君の兄、ザックより。

 

 


なんだか急にダークエンジェル熱が戻ってきた。別にビデオとか見たわけじゃないんだけど。っていうか基本的に好きだったんだよね、この話。
最後の方は人気がなかったのと同じように私としてもあんまり…だけど;

と言うことで、マックスたちと出会う前の頃を想定した、ザックの独白でした。
皆、このキャラを覚えてるだろうか?(汗)
逃げ出したジェネティックたちの指揮を取ったリーダー格の男性で、仲間を大事にする兄貴的存在。
瀕死の重傷を負ったマックス(ヒロイン)が臓器移植されるのですが、その提供者になったキャラで…って言うか彼も捕らえられてて無理やりなんだろうけれど。
その後、半ターミネーターの殺戮マシーンになっちゃったりした人<ここら辺がものすごく気に入らなかった(爆笑)

実は主人公たちと同じぐらいライデッカーがお気に入りキャラだったんだけど、ザックもかなり好きなキャラでした。
宿敵ライデッカー×ザックなんつーもんも書いたことがあります(映画同人サイトに掲載)。
気が向いたらそちらもどうぞ…

2004/10/20 「ダークエンジェル/いつか君と」 by.きめら

 

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