史上最強の弟子ケンイチ VOICE

 


何かに戸惑う気持ち、何かに踊る心、何かに惹かれ続ける僕。

初めて出会った時から、きっと気付いてたに違いない。

ただ、少しだけ…ほんの少しだけ、それを知るのが遅かっただけで。

そして、君はそれに気付いていないだけで。

僕は君に恋をした。

 

 

いつだって、君の事が頭の中を横切って。

僕の声は君の名を呼んでいて。

得られない夢ばかり追いかけて。

それでも諦めることなどなくて。

いつだって、君は振り返って微笑んでくれるから。

 

 

声無き、声。

闇の中でもがく無力な手足。

抱え込んだ全てを吐き出すように。

誰もが助けを叫んでる。

そして、それが僕の叫びなどと知ることもなくて。

 

 

誰かの吐き捨てられた夢も、踏みにじられた正しさも。

誰かに傷つけられていいものなんか、ひとつもなくて。

ただ、それをそっと拾い集めてくれる手を。

誰もが望んでいることに気付いてないだけだから。

君が気付かせてくれた、それを。

 

 

頑なに握り締めた拳がつかめるものなど何もなくて。

助けを求めて上げた手では何もつかめなくて。

目の前に立ち塞がる何かがあったら、そこから答えを見つけ出せばいい。

ねじ伏せられていい心などあるはずもないのだと。

気付いたらもう、戻れないんじゃなく、戻りたくなくなっていて。

胸を貫くような、君の姿を追いかけるように走り出してた。

 

 

求められる全てに答えられることなど出来やしないと、最初から投げ出すのではなく。

やるかやらないかが重要なのだと、センセイも言ってたし。

だから、臆病な僕だけど、それでも必死に生きてる。

それなりに頑張ってる。

それでも時には落ち込んだりして、何も出来なくて空しく俯いてると。

隣にはいつも君が居て、その手は優しくて厳しくて。

まるで僕は出来の悪い弟みたいだけど。

でも、いつかきっと君を守れるぐらいになりたいと、誰かが聞いたら笑っちゃうほど本気で思ってる。

 

 

だから僕は君に伝えたい。

君に強く強く惹かれる僕のことを。

僕を強く強く突き動かす衝動を。

それもこれも君に出会えたことが原因で。

情けないくらい…君に惹かれてるから。

 

 

これから始めまる何かを。

捨てるのじゃなく、これまでの過去を詰め込んで。

拾い集めた欠片をつなぎ合わせて。

新しい未来を足していって。

きっとそこから始まる、僕たちの明日。

 

 

この声がいつか君に届くことを、僕は願ってる。

でも、結局は自分で言わなきゃいけないことだって分かってるけど。

だって、そうじゃなきゃ、僕の声はいつまで経っても聞こえない声のまま。

誰にも気付かれないまま。

君にも気付かれないまま。

 

 

 

――― 僕は今、君に恋してる。

 

 

END

 

 


出た、ポエムもどき!!(笑)
今回は兼一くんの独白ってことで。
他のジャンルで書くポエム調のものって暗いのが多いんですが、前向きさを意識してこれは書きました。

ただ無力で仕方なかった自分が強くなりたいと思い始めたのは美羽と出会ったこと…
彼女の強さに純粋に惹かれて、彼女の純粋さに強く惹かれて、恋に落ちた少年が一人の男として成長していく。
そして、少しずつどうしようもなく情けなかった過去すら無駄じゃなく、積み重ねた上で今の自分が居るのだと誇りすら持てるようになって。

だからこそ、より"明るさ"を強調するようにしました。
強さと若いからこそ見える煌き、みたいな…って、私が年食った証拠じゃな;
ともかく、青春って感じで。
いかがだったでしょうか。

2004/8/28 「史上最強の弟子/VOICE」 by.きめら

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