あなたが笑うから、私はいつでもあなたの道化になる。
あなたが泣くから、私はいつでもあなたの救いになる。
あなたが求めるから、私はいつでもあなたの奴隷になる。
例えあなたが望まなくても。
南国少年パプワくん I can't do, maybe. |
夜風の唱和も、星々の談笑も、暗闇の中へどこまで堕ちていく。
静けさに支配されたその時刻、許された者と許されざる者の幾多にも及ぶ無言の諍いは続く。
それこそ、未来永劫、閉ざされた時間の中で絶えることのない運命なのだから。
私は何かに望まれてこの世に生み出されたのではない。
いや、きっと、言葉では言い表すことの出来ない「何か」が私の存在を望んだからこそ、今、こうして此処に在るのだろう。
―――皮肉なことに。
気が遠くなるほど悠久の時を過ごしてきた私が、私と同じように過ごしてきた片割れと袂を分かったのは、そう昔のことではない気がする。
多くの盲目なる愚鈍な生き物の手によって私は守られ、祀られ、或いは盗まれ、余すことなく醜い世界を渡ってきた。
それは私が望んだことのようにも思えるし、そうではないような気もする…だが、そんなことはどうでもいいことだった。
私は私が望んだままに道を選び、その結果、予想以上の別の流れに身を任せなければならなかったとしても、かまわなかった。
―――退屈だったのだ。
何もかも、愚かに思えた。
何もかも、無意味に見えた。
そう、全てが私にとって、どうでも良かったのだ。
そんな私をおまえは諌めた。
おまえは私を呼び止め、幾らでも奇麗事を並べ立てられるのだ。
―――それが煩わしかった。
いつからだろう、おまえが私と違う道を選んだのは。
いつからだろう、おまえが私と違う道を歩き始めたのは。
いつからだろう、私が暗く閉ざされた心の内に囚われたのは。
私はいつでも我侭だった。
傍若無人に振る舞い、おまえはそんな私を諌めながらも微笑んでいた。
そう、おまえは寛容という名の「無慈悲」を掲げて、私を慈しんだのだ。
哀れなるかな、求められし道化へと身を投げ出した存在よ。
私は幾ばかりか、おまえのために尽力を尽くしたであろう。
おまえを愛するが故に。
これはおまえと私で始めた戯事なのだ。
後戻りすることなど出来はしない、もう始まってしまったのだ。
どうしてそれを無に帰すことが出来るというのか。
それこそ、何故、どこまでも冷たく怖ろしい残酷さだと気付かないのか。
仕掛けたのは私。
だが、応えたのはおまえ。
罪深きその存在は、指先一つ汚さずに神の如く全ての祝福を剥ぎ取った。
運命に翻弄される者たちよ、おまえたちは私たちが戯れに創ったに過ぎない、脆弱な小鳥たちよ。
用意されたシナリオに引き摺られて生きていく者たちよ。
その道から旅立っていけ。
私たちの仕立てた残虐な遊戯から飛び立っていけ。
そして、もう二度と繰り返してはいけない。
だからこそ、私たちは終わりなき悪戯な運命を紡ぎ出し続ける咎から救われるのだ。
「もう、終わりにしましょう」
でも、きっと、私はそれが出来ない。
END
青の秘石の独白(笑)
珍しく、ページ内でわざと間をあけた表示方式です。
赤と青の石って、本当はラブラブだったんじゃあないかね…大昔は。<は?
新パプワでは赤の方が盗まれて大変!みたいな展開らしいですけど、赤の石がいいようにされるのはお気に召さないようです。
冒頭のあれは、青の秘石の本音というか、本心というか。
全部自分の我侭のためだけじゃなくて、みたいにしたくてかきました。
って、わけわかんねえよ、きめらさん(汗)
ま、まあ…ニュアンス的に分かっていただけると幸いです。爆。
以前の作品では所々で青の石でぐだぐだと運命が翻弄されてましたよね。
HEROで、やっぱおまえか!みたいな。
あ、でも、あれでは単なる力を持った物質でしかなくて、結局、欲に駆られた魔族の暴走だったけどね。
って言うか…欲望に囚われた存在があるからこそ奪われたり守られたりされるのね、石って。
そう思うと、彼らのことも可哀想になったりして(笑)
まあ、いいや。
今回は終わりをわざと「青の石=悪役」という最初の定義のままにしました。
理解されない愛情と、どこまで行っても変わることなき孤高の悪役…好きです(笑)
2004/1/7 「パプワくん/I can't do, maybe.」 by.きめら
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