届かないのなら、いっそ全てを投げ出して。
―――貴方の声が聞こえない様に耳を塞いで。
鬱々とした森を彷迷いながら、縺れた糸を手繰る様に無駄な足掻き。
―――今更、何が出来ると言うの。

 

SUPERNATURAL Count Down

 

鼓膜を揺さ振る風は何処までも強く、冷たく、冷えた耳に吹き荒ぶ。
青い空も白い雲も、暖かな光も、何処にも永遠なんて無かったのだから。

―――如何してあの日、貴方を喪わずに居たのだろう。

知りたくも無い。
知らなければいけない。
触れる事を最後に恐れたのは、他ならない私自身。

―――貴方の幼さの残る澄んだ目が、如何しようも無く、痛かった。

刺す様に優しい貴方の声が、この四肢をまるで泥濘の様に取り巻くから。
余す所無く切り裂いて、この夜に消えて行きたい。
叫びは決して届きはしない、何時かの陽だまりに置いていかれた思い出。
貴方は何も知らないまま、その瞳は光を見詰めて行くのでしょう―――信じると言う貴い心のままに。

聞こえるのは、最期のカウントダウン。
憐れむ為の歌を唄って、私を笑いなさい、それが貴方に出来るなら。
貴方が何処で何をして居ようと、この手は何時だって貴方を捕らえられる。

―――絶望にのたうち回れば良い。

此処から出して。
この暗闇から連れ出して。
―――ただ抱き締めて、この冷たい世界で。
天使にも悪魔にもなれると言うの、目の奥に飼い馴らせない獣を潜まわせて。
天使にも悪魔にもなれないと、心の奥から叫んでも誰も気付きはしないけれど。
縋りつく様にその手に掴まれば、何かが変われたと貴方は言うのだろうか。

―――か細いその息の根を止めて、そっと優しく愛してあげる。

夜に占められた世界で、震える睫毛に冷めたい月明かりが憩うだけ。
この目に光は無く、貴方を観止める事もない。
どうぞ、貴方が撃ち殺して―――その手にある銃で、さあ、私を撃ち抜いて、今すぐに。
塵は塵に、灰は灰に、父と子と聖霊の名において、私を無へ帰して。

―――聞こえるのは悪魔を憐れむ歌。

その頬に口付けて、愛してると呟いてあげるわ。

 

END

 


メグの中にいる者とメグの心の声が絡み合って紡ぐ独白。
分裂した二つの声がそれぞれに主張し合った感じにしたかったのですが、出来たかどうかは謎です。
やりたかった雰囲気を汲みとって頂けたら嬉しいです(ぇ)
つっこまれるのが怖いので先に白状すると、Cocco女史の詩が元ネタと言うかイメージだ。うん、申し訳ない。

思えばかなり可哀想な子でした…意外と嫌いじゃなかったのよね。
イメージ通りのかなりキュートな女優さんだったし。
ディーンには初対面で思いっきり毒吐いたけどさ、それはそれで(笑)
再び登場した時の悲惨な最期は悲しいキャラでした。
それで余計にお気に入りキャラになったんだけど。

もしサムがジェシカの事を色濃く引き摺っていた頃じゃなく、また彼が臆病過ぎるほど慎重な性格じゃなかったら、あの二人ってどうなってただろうねと思ったり。
けしかけるディーンには正体を知っている視聴者は「おいおいおい!」とツッコミどころ満載だったけれど、知らなければけしかけるのも納得かも。
で、けしかけるディーンに私は「おいおいおい」と別の意味でツッコミいれてました…orz

2007/12/30 BLOG掲載
2008/4/6 改定版UP

 

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